こんにちは、emikiです。
「事実婚」という夫婦の形をご存知ですか?
「事実婚」を簡単にいうと、婚姻届を提出しない事実上の夫婦関係のことを指します。
「同棲と何が違うの?」と思うかもしれませんが、お互いに婚姻の意思を持っていて、婚姻届をお互いの意思で出していない関係のことをいうので、厳密には同棲とはまったく違います。
婚姻届を提出しないので、法的な手続きをしなくても事実婚は成立するのですが、「事実婚」をしている証明が必要な場合もあります。
その場合は、住民票を一緒にして、「世帯主との続柄」のところに「妻(未届)」と記入すれば、事実婚の証明になります。
(※事実婚ではない同棲カップルの場合は、世帯主はお互いに別になっているはずです。)
この事実婚は、法的には夫婦関係とほぼ変わらない待遇を受けることができます。
(一部は婚姻届けを提出している夫婦しか受けられないものもありますが、違いについては後ほど紹介します。)
20代女性は、最初から事実婚を望む人は少ないかもしれませんが、30代以上の独身女性は、「事実婚もアリ?」と思わざるを得ない場面にも遭遇します。
事実婚が多い例として、以下の事例が挙げられます。
自分または相手に離婚歴があり、子供がいるから
特に年齢が上がるにつれ、様々なしがらみがあり、離婚→再婚と思うように進まない場合は、事実婚を取る人が多いようです。
30代独身で結婚相手を探すとなると、必然的に対象年齢も上がるため、自分は初婚でも相手に離婚歴がある場合もあるでしょう。
または、自分に離婚歴があり、両親が再婚を反対している、子供の都合でなどの諸事情から「事実婚」を選ばざるを得ない状況になることもあるでしょう。
このように、30代以降の結婚となると、事実婚をせざるを得ない可能性も上がるのです。
そこで今回は、30代で実際に事実婚をしている女性の体験談を交えつつ、事実婚の実態やメリット・デメリットをご紹介します。
Contents
事実婚のメリット・デメリット
まずは、事実婚をするメリット・デメリットをご紹介します。
メリット
まずは、事実婚をするメリットからご紹介します。
苗字が変わらない
結婚をすると、多くの場合女性側の苗字が変わります。
「なんで男性側の苗字にならなくてはならないのか」
「旧姓の方が気に入っているので旧姓を名乗りたい」
など、様々な理由から夫婦別姓を望む女性も多くいます。
苗字が変われば、法的な手続きなどが発生し、何かと面倒。
その面倒な作業を一手に女性は引き受けなければなりません。
一方事実婚の場合は、法律上は婚姻関係にないので、お互いに苗字が違います。
苗字に縛られることなく、お互いの家系を尊重し合うことができます。
別れた時に「離婚歴」がつかない
婚姻届を提出ていないので、別れた場合に「離婚歴」はつきません。
世の中的に「離婚歴」をよく思わない人も多いため、事実婚カップルが破局した場合、世間体を気にする必要はないということです。
親族との付き合いをあまりしなくても良い
「結婚は家同士の結婚」ともいわれていますが、結婚することで夫以外の家族との繋がりも濃くなります。
一方事実婚は、法律的にいうと家族になるわけではないため、親族関係も成立しません。
親族同士の付き合いなどの、めんどくさいシガラミもないということです。
婚姻関係の夫婦とほぼ同等の待遇を受けることができる
事実婚カップルは、実は婚姻関係の夫婦とほぼ同等に法律的な待遇を受けることができます。
例えば、社会保障やローン、財産分与に関してです。
詳しくは「事実婚と法律婚の受けられる待遇の違い」の章で解説します。
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デメリット
続いて、事実婚をするデメリットを挙げていきます。
子供ができるとデメリットな部分が多い
事実婚カップルに子供ができた場合、法律的には非嫡出子(婚姻関係にない男女間の子)となります。
基本的には親権は母親にあるとされ、母親性を名乗ることになります。
父親と性が違うことで、周囲から理解のない目で見られてしまうこともあります。
また、相続に関しても不利に働き、非嫡出子は法定相続分が摘出子の1/2になります。
周囲からの理解を得難い
事実婚は別名「内縁」ともいわれ、世間的に良いイメージを持たれていません。
フランスに行けば、法律婚(=婚姻届を提出している夫婦のこと)よりも事実婚を選択する人が多いことが現状なんですが、日本ではまだまだ世間的には理解を得難い関係でもあり、「〇〇さんの家庭は何で結婚しないの?」という好奇の目で見られてしまうこともあります。
税金や相続面に関しては不利になる
事実婚のメリットの面で、法律婚カップルとほぼ同等の法律的な待遇を受けることができるといいましたが、実は税金控除や相続面に関しては、不利になってしまいます。
詳しくは、以下の「事実婚と法律婚の受けられる待遇の違い」の章をご確認ください。
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事実婚と法律婚(婚姻届を提出している夫婦)の受けられる待遇の違い
事実婚と法律婚(=婚姻届を提出している夫婦)では、具体的にどのような待遇の違いがあるのでしょうか。
具体的にご紹介します。
○=事実婚でも法律婚と同等
△=事実婚の場合、認められない可能性がある
×=事実婚では認められない
社会保険関連 住民票 ○ 別姓であっても続柄に「妻(見届)」「夫(見届)」と記載できる 年金の第3号被保険者 ○ 同居していて一定の所得条件を満たせば、事実婚の夫婦であっても法律婚とほぼ同等 遺族年金 ○ 公的医療保険の被扶養者 ○ 高額医療費合算制度 ○ 労災保険の遺族補償 ○ 住宅 公営住宅の入居 ○ 住民票の続柄が「夫/妻(見届)」となっていれば入居が認められる 住宅ローンの連帯責務 △ 住宅金融支援機構「フラット35」は事実婚の夫婦でも連帯責務者になれる。民間銀行の場合、戸籍上の夫婦を条件とするところがある 介護施設への入居 △ 夫婦で入居できる施設の場合、事実婚カップルの入居は認めないケースが多い。
配偶者が介護施設に入居する際の保証人にも、一般的にはなれない税金 配偶者控除 × 対象となるのは「民法上の配偶者」なので、事実婚の配偶者は所得税や贈与税の配偶者控除の対象にならない 医療控除 × 法律婚の場合、生計を一にする家族・親族の医療費は合算できるが、事実婚の夫婦の医療費は合算できない 事実婚を解消 離婚時の厚生年金分割 ○ 事実婚の解消でも、2007年4月に始まった「合意分割」、2008年4月の「3号分割」を利用できる。
ただし、事実婚では年金分配の対象となる結婚から離婚までの期間を証明するのが難しいため、第3号被保険者となっていた期間だけが分割対象財産分与の請求 ○ 2人で築いた共有財産に関しては財産分与を請求できる 慰謝料請求 ○ 責任が一方にある場合、相手に対して慰謝料を請求できる その他 死亡退職金の受け取り △ 企業の退職金規定によるが、事実上の配偶者を受取人と認めている企業は多い 生命保険の受取人 △ 一部の保険会社を除き、事実婚の配偶者は原則、死亡保険金などを受け取れない。受取人になれる場合でも、結婚期間や保険金の額などに条件がつく 事故死亡の場合の逸失利益や慰謝料請求 △ 原則、請求できるのは法定相続人(法律婚の配偶者など)だが、ケースバイケースで事実婚の配偶者に認められることもある 成年後見の申し立て × 成年後見の申し立てができる親族は4親等まで。事実婚の配偶者は申立人になれない 入院時の保証人
医療行為の同意× 緊急を要する場合はケースバイケースだが、原則、事実婚の配偶者は入院時の保証人になったり、手術など医療行為の同意書へサインなどができない 出展:シングル女性の人生設計(日本経済新聞生活経済部編集)
上の表を確認すると、
「税金」「相続」「医療」「老後」に関しての項目は、事実婚カップルは待遇を制限されていたり、そもそも受けることができません。
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実際に事実婚をしている30代女性の体験談
続いては、実際に30代で事実婚をしている女性にお話を伺ってみました。
事実婚を選んだ理由や、実際に事実婚をしてみてどうかといったリアルな声を聞くことができました。
Aさん(31歳/会社員)の場合
事実婚を選択した理由をお聞かせください。
彼の方が結婚したがらなかったからです。
最初は私もそのことが嫌で、どうにか結婚できないか食い下がりましたが、「結婚したいと言うなら別れる」と言われました。
幸い私は子どもを持ちたくないと思っているため、事実婚を選びました。
事実婚をして、良かったと感じたことはありますか?
法でしばられていないので、気持ち的に楽です。
また、彼のご両親や親戚とのお付き合いもしなくてすむので楽です。
事実婚をして、デメリットに感じたことはありますか?
財産分与などのことはとても気になります。
また、自分の両親に対しては申し訳ないという気持ちももっています。
Bさん(30歳/会社員)の場合
事実婚を選択した理由をお聞かせください。
相手の男性がバツイチ・子持ちであり、再婚をしたくないと考えているためです。
2人とも子供は望んでいないので、正式な結婚という形にこだわらず一緒に生活できればいいという考えでした。
生涯籍は入れずに、いつまでも仲良く一緒に住めたらと考えてます。
事実婚をして、良かったと感じたことはありますか?
良くも悪くも、お互い自立していて自由度が高いことです。
いわゆる淡白な関係ではありますが、籍を入れてないので縛られる思いもなく、ストレスもないです。
事実婚をして、デメリットに感じたことはありますか?
保険関係の契約などの際、正式に籍を入れていたらもっと良い条件でサービスを受けられるのにと思うことがあります。
Cさん(37歳/会社員)の場合
事実婚を選択した理由をお聞かせください。
事実婚を選択したのは、結婚のメリットを感じなかったため、現状のままで特に問題ないと考えたからです。
形式として婚姻届を出すという選択肢がありましたが、二人で話し合い、事実婚でいいという答えをだしました。
そのほうがお互い楽です。
事実婚をして、良かったと感じたことはありますか?
お互いに自由に生活できている点が、事実婚を選んで良かったと感じることです。
家のことは2人で分担しながら、しっかりおこなっています(笑)。
事実婚をして、デメリットに感じたことはありますか?
婚姻届などの書類は何も提出せずに成立する関係なので、簡単に言うと、明日にはさようならできることです。
その辺りは、お互い信頼関係で保っている状態です。
Dさん(35歳/主婦)の場合
事実婚を選択した理由をお聞かせください。
私は22歳の時にできちゃった婚をして、その5年後には離婚をしています。
そして今の旦那と知り合い、「籍を入れたいね」なんて言っていたのですが、私の両親は再婚に反対で、籍を入れられる状況じゃなくなり、事実婚を選びました。
事実婚をして、良かったと感じたことはありますか?
良かった点は、やはり姓を変える必要がない事です。
なので自分の姓のままでいられるし、面倒な事が無いので良いです。
事実婚をして、デメリットに感じたことはありますか?
事実婚の悪い点は、旦那が入院した時に、手術のサインをする事が出来なかった事です。
やはり姓が違うって事がダメなのです。
Eさん(33歳/会社員)の場合
事実婚を選択した理由をお聞かせください。
まだ子供が欲しいと思わないからです。
日本の制度では、子供を作るのであれば、絶対に籍を入れた方が金銭的におトクだし、社会的にも面倒な事がありませんが、子供がいないのであれば籍を入れる事には何の意味も無いのでは?と思います。
事実婚をして、良かったと感じたことはありますか?
とにかく制約が無く自由です。
籍を入れてしまうと、別離の際は金銭的な揉め事も起こるし、手続きも面倒。
一緒にいたいから、いる。
という、シンプルな理由で毎日を過ごせるのが性に合ってます。
事実婚をして、デメリットに感じたことはありますか?
現状では、デメリットに感じたことは1つもありません。
子供が欲しくなったら、また考え方も変わるのかな、とは思っています。
Fさん(36歳/会社員)の場合
事実婚を選択した理由をお聞かせください。
両家に挨拶に行かなくて済むこと。
私の親とは関係が良好なんですが、夫の両親は、夫婦ともに夫が物心ついたころから仲が悪く、離婚はしないものの東京と地方で離れて暮らしていたそうです。
現在もずっと不仲が続いているため顔合わせが出来ず、今は事実婚の状態をとっています。
事実婚をして、良かったと感じたことはありますか?
今の姓でずっと働けるということは手続き等をしなくてよいのですごく楽です。
また、付き合っている時からの気持ちと変わらないのが、すごく楽でよい関係性となっています。
事実婚をして、デメリットに感じたことはありますか?
役所関係のことは、「見届けの妻」となっているので、そのことが気になることと、今後子供ができたらと考えるとどうなるのかが全然わからないし、不安です。
Gさん(39歳/会社員)の場合
事実婚を選択した理由をお聞かせください。
私も彼もバツイチでお互い子供がいます。
私の方は子供が2人いて、一緒に住んでいるので子供が成人したら、籍を入れるかどうか考えようと思っています。
彼は仕事で平日はほとんど家に居ないので週末だけみんなで過ごすという感じです。
お互いに今のバランスでちょうど良いねと思っているので籍にこだわっていません。
事実婚をして、良かったと感じたことはありますか?
特に私の方が、仕事や育児で行き詰まったりしたときに、頼れる人がいるという安心感が得られたことです。
今までシングルで頑張っていたので、精神的な支えとなる存在ができて本当に良かったです。
1人で頑張りすぎないことが大切だと思いました。
事実婚をして、デメリットに感じたことはありますか?
周りの人からの理解があまり無いことです。
「一緒に住んでいるのにどうして結婚しないの?」と言われたこともあるし、声に出さなくても好奇の目で見られてしまうこともあるので、少し悲しいです。
みなさん、たいへん貴重なご意見をありがとうございました。
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独身女性は「事実婚」もアリ?30代で事実婚をしている体験談まとめ
実際に30代で事実婚をしている方の体験談をお聞きすると、法に縛られた夫婦関係がない部分が楽というご意見が多い印象でした。
お互いに自立した関係であり、婚姻届を提出しなくても成り立つ“信頼関係”で成り立っている点が、法律婚とはまた違った魅力を感じました。
また、家庭の都合、相手または自分の離婚歴が原因などといった事情で事実婚を選択している人も多くいらっしゃり、そういった方達にとっては「事実婚」は、最適な制度でもあるとも感じました。
しかし、事実婚は法律婚とは違い、法的な待遇も一部受けられないので(特に税金、相続面に関して)、メリット・デメリットを理解してご自身のライフプランにあった選択をすると良いでしょう。